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北海道アングラーズペンクラブ  【2014年記事一覧】 


事務局 TEL 011-709-1873 E-mail info@tsuritomo.net
釣りの専門紙や雑誌など各種媒体に掲載された記事や、書き下ろしのエッセイなどを掲載。
※ 転載については許可を受けています。



 前回は昨年起きた釣り関連事故について書いた。今年1月には、奥尻沖で漁船とプレジャーボートが転覆し2名が死亡した。マス釣りの最中に天候が急変したためらしい。冬場はもちろん春の日本海は怖い。第一管区海上保安本部(小樽)は昨年7月1日から、気象に関する注意報や警報などを希望者の携帯電話やパソコンにメールで配信する「緊急情報配信サービス」を開始した。道内32地域から配信を希望するエリアや、曜日、時間帯も選べる。サービスの登録用サイトのアドレスはhttp://www7.kaiho.mlit.go.jp/micsmail/reg/touroku.html。大いに利用してほしい。エゾシカ、トド、アザラシといった野生動物による農業、漁業被害が深刻化している。これにともないエゾシカ猟では、ハンターの誤射による事故も増えた。11年10月には、釣り人が誤って撃たれるという事故も起きている。昨年は、ヒグマが札幌の住宅街近くにも出没して騒ぎになった。ときどき釣りに出かける豊平川沿いでもあり驚いた。釣り人は、とくに内水面では、迷彩服など地味な格好をしがちだが、こうした危険回避のために、ウエアをカラフルにするなど、存在を目立たせる必要があるというのが持論だ。海釣りでは、夜間に港で黒っぽい格好をしていた人が、車に轢かれるという事故も起きたそうだ。密猟者はなるべく目立たない格好をするに違いない。周囲の目を引けば、ルールやマナーを守るという自覚にもつながる。目立つ釣り人は良い釣り人?
 別海町の野付漁協がアメマスがサケの稚魚を食べる害魚ということで、実態調査のため「アメマス2匹とホタテ1枚を交換する」と呼びかけたところ、釣り人の反発を招いてしまった。そういえば昔、島牧村でも似たようなことがあった。今は、周知のとおりアメマスダービーを開催して地域振興に生かしている。サケが不漁だから、また「悪者」として、注目されるようになったのだろう。白糠町の茶路川では、有効利用調査(河川内での許可制サケ・マス釣り)が中止となった。これも、サケの不漁が背景にある。早期に再開されることを期待したい。
 4月に施行された道の生物多様性保全条例により、「ニジマスが外来種として規制されるかも知れない」と、釣り人や町おこしなどに生かしている関係自治体などから不安の声が高まった。ニジマスの北海道における歴史は100年にもなるという。ニジマスはすでに他と共存し、北海道の魚として定着しているというのは言い過ぎだろうか。
 昨年の4月から5月にかけて、独立行政法人国立環境研究所(茨城県)が、猿払川のイトウの産卵遡上調査を行うなど、保護に向けての機運が高まった。猿払村では今年3月の定例村議会に保護を目的とした条例案も提出される見込みという。
 支笏湖のチップ釣りの釣果が14万2000匹で過去最高となった。もっとも、生息数自体は大きく変わっていないそうだ。支笏湖漁協では、今季の遊漁料を少し値下げする方針という。ありがたいが、コアなファンだけでなく、ファミリーが気軽に楽しめるような工夫をしてくれれば、もっとありがたい。
 昨年10月、関西のホテルに端を発した食品虚偽表示問題は全国に飛び火し、道内の有名ホテル、レストランなどでも次々に発覚した。産地や種類などを偽ったものは、水産物だけでも、エビ、カニ、サケ、キングサーモン、マグロ、タコ、ホッケ、アワビ、アサリ、ホッキ貝、フカヒレ、ホタテなど、多種に及んだ。あってはならないことだが、デフレが長引き、企業を追い詰めたという気もする。怒りよりも、「やっぱりなあ」という思いを抱いた人は、少なくないのではないか。
 しかし、表示はやはり正確で分かりやすいものであるべきだ。消費者庁は景品表示ガイドライン案を公表した。サーモントラウト(ニジマス)を使っているのに「シャケ弁」とするのはだめという。供給サイドの反発もあるというが、薬漬けの養殖輸入物の「サケ」は、日本の天然サケよりもおいしいなどという誤解を与えないためにも「サーモントラウト弁当」でいいと思う。ちょっと違うが、こちらでもニジマスは日本に定着しているのだ。
 北見市留辺蕊町の「山の水族館」がリニューアルして人気を博し、入場者が急増して話題となった。
 大阪で開催された「フィッシングショーOSAKA2014」の 入場者数は、2月7日(金) 業者商談日4662人 ( 前年4583人)、2月8日(土) 一般公開日1万9273人(前年2万4019人)、2月9日(日)一般公開日2万8130人(前年2万7736人)、3日間の合計5万2065人(前年5万6338人)だった。8日に関東地方が記録的な大雪だったのが客足に響いたようだ。3月21日(金・祝)から23日(日)まで、横浜で「ジャパンフィッシングフェスティバル2014(国際フィッシングショー)」開催される。昨年は、入場者数が前年より大幅に減って苦戦しただけに、「山の水族館」のように、巻き返しを期待したが、わずかながら前年より下回ってしまった。次回は、開催日を1月に変更。大阪と2週連続の開催となる。
 異常気象、温暖化など地球環境変動への不安がさらに高まっている。オホーツクの海氷面積は過去最小となった。NHKで世界初という深海でのダイオウイカの姿が放映され話題になった。今年になって、ダイオウイカやリュウグウノツカイが相次いで水揚げされ、何か良からぬことの前触れではともいわれた。
  日本の1年には、1月からと4月からの2つあるが、特に北海道の釣り界のスタートは後者だろう。この1年が平穏無事であることを祈りたい。

2013〜2014 北海道の釣りと魚と環境、この一年<中>
氷上ワカサギ釣りでの一酸化炭素中毒、海や川での転落…
北海道で起きた釣り関連事故を調べたら20人も死亡していた

 広島県沖で、海上自衛隊の輸送艦と釣り船が衝突し、釣り船に乗っていた4人が海に投げ出され、うち2人が死亡したというニュースを聞きながら、この原稿を書いている。事故が起きたのは1月15日だ。4人は救命胴衣をつけていなかった。この事故で思い出されるのは、1988年(昭和63年)に、横須賀港の沖合で、海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と遊漁船「第一富士丸」が衝突し、釣り船の乗客・乗員のうち30人が死亡したいわゆる「なだしお事件」だ。潜水艦側の事故対応をめぐり、当時の防衛庁長官が引責辞任するなど、大きな問題となった。遊漁船側にも過失があり、この事故がきっかけとなって、「遊漁船業の適正化に関する法律」も制定された。
 道内においても釣り船関連の事故は絶えない。昨年9月には、苫小牧沖で遊漁船が夜間、イカ釣りの最中に火災を起こして沈没した。私もよく利用していた船だったので驚いた。船長に聞いたら、火災原因は電源トランス(変圧器)という。イカ釣り船の集魚灯は電気を食う。おそらく負荷が掛かり過ぎて異常発熱したのだろう。幸い船長と12人の乗客は、近くにいた船に救助され、けが人はなかった。10月には八雲漁港の沖合いで、船長が急性の心臓病で突然倒れ、その後死亡。釣り客が携帯電話で消防に連絡し、他の漁船員が船に乗り移って港に戻った。11月には室蘭港内で、遊漁船とプレジャーボートが衝突。プレジャーボートに乗っていた2人が重軽傷を負った。遊漁船は歩いては行けない離れ防波堤に釣り客を送迎する渡し船として知られていた。
 第1管区海上保安本部の「平成25年北海道周辺海域における海難発生状況(速報値)」によるとプレジャーボートの事故は30件で、うち死者・行方不明者は1名。遊漁船の事故件数は9件だった。
 釣り船以外の釣り関連事故は、残念ながらもっと多い。ちょうど今が氷上ワカサキ釣りのシーズンだが、昨年1月、石狩市の人気釣り場、茨戸川でのワカサギ釣りの最中に、近くのテントで一酸化炭素中毒の事故が起きた。中年男性の釣り客が氷上に横たわり、仲間の通報で駆けつけた消防署員によって、タンカで運ばれていった。原因はテント内で燃やしていた練炭ストーブだった。幸い釣り客には意識があり、新聞にも記事が載っていなかったので、大事には至らなかったのかも知れない。3月には、南富良野町のかなやま湖で夫婦が、七輪による一酸化炭素中毒で死亡した。どんなに寒くてもテント内にこうした火気を持ち込むのは厳禁である。知らぬはずはないのに、毎シーズンのように事故が起きるのは、過信と油断以外にない。寒さに耐えられなかったら釣りをあきらめるべきだ。過去にはテント内だけでなく、釣り行った車内での火気使用による一酸化炭素中毒も起きている。北海道ではないが、山梨県の山中湖で1月、ワカサギ釣りのドーム船に乗っていた小学生ら4人が一酸化炭素中毒で病院に運ばれた。ドーム船は寒さ対策のために、船の上にドーム状の覆いを設置した釣り船だ。船の中には石油ファンヒーターが1台設置されていて、これの不完全燃焼が原因とみられている。山中湖では、一昨年の12月にも同様の事故が発生している。


茨戸川で一酸化炭素中毒の事故原因となった練炭ストー

 一酸化炭素中毒だけでなく、網走市の能取湖で1月、コマイの氷上釣りをしていた人が、湖底で死亡しているのが発見された。吹雪で方向を見失い氷の状態が良くないところから落ちたようだ。投げ釣りでは同月、森町の蛯谷漁港で、いわゆる釣り会で訪れていたベテラン釣り師が、海に転落して水死した。釣り会は、ほとんどが夜釣りをする。しかも、仲間と離れ単独行動をしたために発見が遅れたようだ。冬季は、積雪などによる足元の不安もある。雪が積もった港で、仲間と釣りをしていた知人から、海に転落した時の体験談を聞いたことがある。岸壁の際の雪が、雪庇(せっぴ)状態、つまりせり出していて、それに気付かず足を踏み外したという。仲間は少し離れていて、見ていなかった。知人は大声で助けを求めたが、雪の吸音効果のためか、なかなか気付いてもらえず、「死ぬかも知れないと思うほど恐ろしかった」と言っていた。
 このほか、海中への転落による死亡事故は7月に、石狩市の濃昼(ごきびる)漁港、苫小牧東港の浜厚真、9月に石狩湾新港、知内町の中の川漁港、森町の砂原漁港、11月に浦幌町の厚内漁港、12月に釧路東港で起きている。車ごと転落し死亡するという事故も多い。7月にえりも漁港、10月に紋別港、福島町の吉岡漁港、11月に留萌港で起きている。釣り場の行き帰りに起きる交通事故も多いという。行きは、目的地へと急ぎスピードを出しがちだ。帰りには、疲れで眠気が襲う。隠れた釣り関連事故というべきだろう。
 海ばかりでなく、川で流されるなど淡水での死亡事故も目立つ。5月に厚岸町の別寒辺牛川、6月に北斗市の茂辺地川、7月に広尾町のカムメロベツ川、釧路市のヌカマンベツ川、8月に古平川で起きている。当然、淡水の釣りでもライフジャケットを着用すべきである。
 以上、私が調べた限りでも、20人が死亡している。男女別では、19人が男性で女性が1人。年齢別では、40代1人、50代4人、60台7人、70代7人、80代1人だった。死亡事故だけでも、これほどあるのだから、転落して助けられたといったケースなど、一歩間違えれば大変なことになっていた事故は何倍もあるに違いない。(以下次号)

2013〜2014 北海道の釣りと魚と環境<上>
魚はブリ、サバ好漁、サケ、カラフトマス不漁で南高北低
二大フィッシングショーの入場者数は西高東低

 衆議院選挙(2012年12月16日)、そして参院選(2013年7月21日)が行われ、共に自民党の圧勝。政権交代を見越して、再びダム建設推進派が勢いを盛り返し、国交省、開発局がサンルダムや平取ダムなど凍結されていた工事の再開を早々と決定。2014年度の予算に工事費も計上された。ダム建設に反対する自然保護団体や市民団体、学者、研究者らがフォーラムや集会を開催するなどして抵抗を続けているが、形勢は逆転しそうもない。一方では、知床の斜里川で、農水省系の林野庁を中心に、サクラマスが遡上できるよう治山ダムの改修工事に向け検討が進められている。林野庁って官庁の中では閉鎖的で地味なイメージだったけど、最近は体質が変化して、自然保護に熱心に取り組むようになったらしい。それには、世界遺産地域のような注目される場所から手を付けるのが、イメージアップのためにも効果的だ。林野庁の思惑はともかく、今後は自然や川を守りたい人にとって、意外に味方になってくれるのかもしれない。
 冬季は雪が多く寒かった。2013年3月初旬には、道東の中標津町や湧別町で、暴風雪により車が立ち往生するなどして、8人が死亡するといった惨事も起きた。ゴールデンウィークも寒く、釣り業界の出鼻をくじいた。夏場は全国的な猛暑となりゲリラ豪雨も多発した。
 東西の二大フィッシングショーは、2013年2月1〜3日開催の大坂が5万6338人で、前年対比約108%と増えた。一方、3月22〜24日開催の横浜は3万7217人で前年対比79・7%と2年連続で大きく数字を落とした。1年後の2014年2月7〜9日に大阪で開催された「フィッシングショーOSAKA2014」の 入場者数は、2月7日(金) 業者商談日4662人 ( 前年4583人)、2月8日(土) 一般公開日1万9273人(前年2万4019人)、2月9日(日)一般公開日2万8130人(前年2万7736人)、3日間の合計5万2065人(前年5万6338人)と前年よりやや減った。8日に関東地方が記録的な大雪だったのが客足に響いたようだ。3月21日(金・祝)から23日(日)まで、横浜で「ジャパンフィッシングフェスティバル2014(国際フィッシングショー)」開催される。昨年、一昨年と苦戦しただけに、巻き返しを期待したい。
 釣り業界においては、二大メーカーの業績はいいが、「北日本においては長雨など悪天候もあり小売市場の動きは芳しくありませんでした…」(シマノ平成25年12月期第3四半期決算短信より)というように、北海道の業界は苦戦を強いられたようだ。不景気にあえぐ中、釣具市場は縮小。限られたパイを巡り競争も激化している。1年ほど前には、札幌の石狩方面の郊外に、道内大手釣り問屋が久々の大型小売店を出店した。それまでにも経営が悪化した取引先を吸収するという形で、小売部門の多店化をしてきた。取引先がつぶれれば、売り上げが減るからだ。今は名前が消えてしまった大型釣具チェーンの「武美」もそうだ。武美はバブル時代の設備投資が響き経営が悪化。特約店をしていたメーカーに対し多額の未払い金があり、半ば強引に手形を切らされたのが倒産の引き金となった。その後、同様のケースが全道へと広がるのだが、これまでは取引先の小売店を刺激しないように、どちらかといえばこそこそとやっているという印象だった。しかし、今度は最初からの新規出店であり、ついに小売部門強化へと大きく舵を切ったとの見方が業界を駆け巡った。店舗数が10店舗ほどにもなればもはや隠しようもない。業界ではだれでも知っていることだ。もちろん、周辺のライバル店は戦々恐々だ。釣りの小売市場は、もはやメーカーも問屋もない。グローブライドが本州で小会社により小売店を広域展開しているのは周知の事実だ。小売店の運営には経費が掛かるとはいっても、一般の小売店と違って有利なのは言うまでもない。取引先の小売店が反発するのも当然だ。消費者は、流通形態はなるべくシンプルにと願う。経営が同じならメーカーや問屋から通販などで直接、安く売ってもらえないものかと思うはずだ。
 (社)日本釣用品工業会の調査によると、2012年の国内小売市場規模(推計値)は1736億1000万円(前年対比102・8%)で、2013年は2・9%増と予測されている。2007年以降の減少傾向に歯止めは掛かったが、まだ低水準にある。また、釣種別国内出荷金額(見込み)では、ルアー(ソルト)28・1%、ルアー(バス)17・5%、ルアー(トラウト)3・2%、フライ1・7%で、ルアー・フライの合計では50・5%と初めて5割を超えた。このほか磯・波止釣り18・4%、船釣り14・6%、アユ5・2%、ヘラ4・8%、投げ釣り3・9%、渓流2・2%だった。前年より伸びたものでは、バスの復調が顕著でルアー(ソルト)、磯・波止釣り、船釣りも伸びた。投げ釣りなど餌釣り系の復活が業界の大きな課題となっている。販売形態としては、インターネットによる「オンラインショップ」の市場における構成比は、5〜8パーセントと推定され、今後も成長が見込まれる。
 北海道の魚の好不漁では、ブリの漁獲量が過去最高となり、3年連続で7000トン超となった。おかげで積丹沖のブリ釣りも活況を呈した。築地の初セリで、有名すし店が1匹1億5540万円でセリ落として話題となったクロマグロも全国的に豊漁だった。道東のサケの定置網にも、クロマグロが大量に入り漁師を驚かせた。しかし、多くは型が小さく、未成魚のメジマグロの漁獲規制が強化されそうだ。この影響で築地などの市場では、ブリやクロマグロの魚価が下がった。しかし、スーパーで100グラム100円以下で買える肉は、国産でも豚や鶏ならいろいろあるが、同じような価格で買える刺身はほとんどない。メバチマグロでも100グラム298円なんて常識だ。小骨があるから面倒といった理由もあろうが、やはり同じ蛋白源としては魚の方が高いから、手が出にくいのではないか。かくして魚離れに歯止めが掛からない。
 他の魚種では、道東沖のサバが豊漁、マイワシも回復の兆しを見せた。日本海側のニシンも、1996年の稚魚放流開始以来、最高の漁獲量となった。太平洋側では、今年もマンボウがたくさん網に入った。今までは利用価値がないということで海に帰していたが、勲製などの加工品にして売り出す会社も表れた。道東沖のミンククジラの調査捕鯨も好調だった。餌となるマイワシを求めて集まったようだ。
 一方、カラフトマスは2年連続の不漁。サケは、大不漁だった昨年よりは15%増となったものの、13万1000トンと4年連続で低水準となった。また、サケは比較的オホーツク海側が好調で、日本海側は落ち込むなど海域によってばらつきが出た。ホッケも、前年比24%減の5万2000トンで過去最低の不漁。資源量が減少しているのが原因といわれる。居酒屋名物のホッケの開きも品薄となり、価格も上がった。ホッケのウキ釣りで100匹、200匹と釣れたのは、遠い過去の話となるかもしれない。サンマも過去5年で最低の水揚げとなり、スルメイカは渡島、檜山などの道南では不漁だったが、羅臼などの道東沖で豊漁で全体では前年比19%増、全体では過去5年では2番目の豊漁となった。日高沖や釧路沖のシシャモは不漁。ちなみコンブも過去最低水準の不漁となった。道北日本海のミズダコは豊漁。ホタテも豊漁だった。ホタテは国際認証の「MSC認証」(海のエコラベル)を取得。国際的な評価が高まり、輸出も好調だ。
スケソウダラは不漁で2年連続の減少、過去10年間20万トン前後の低水準で推移している。輸出先の韓国が東電の原発事故による魚離れで、輸出量が激減。今度は中国への輸出を増やそうともくろんでいる。2006年度から稚魚放流を開始したマツカワは、漁獲量が急激に増えたが、ここ11年、12年と頭打ち傾向。高級魚離れにより魚価も低迷しており、放流経費と漁獲金額はとんとん状態だ。ちなみに、釣り人にはマツカワの裏側(目のない方)がいわゆる「パンダ」ではなく、白いのは天然物といって喜んでいる人もいるようだが、専門家によれば、今のところすべて放流物だそうだ。
 南の魚が好調で、北の水産物が不振という状況を、地元紙は「異変」として取り上げていた。しかし、前年の同時期にも同じような状況が起きていて、やはり「異変」という記事を載せている。水温が高いために、こういうことが起きているようだが、来年も同じ状況なら、また「異変」なのだろうか。それとも5年ぐらい続くと、「例年」になってまうのだろうか。そう考えると恐ろしくなる。
 変わらないのは、釣り人の死亡事故の多さだ。これからは、ワカサギ釣りのテント内での一酸化炭素中毒も心配される。毎年のように死亡者が出ている。練炭ストーブ、しちりんなどの火気を持ち込むのは厳禁。「寒さに耐えられないなら釣るな!」である。(つづく)
潮を釣るK(最終回)
波、海浜流、漂砂が作る砂浜海岸の形状について

 広い砂浜海岸(または砂礫海岸)の浪打際は一直線ではなく、へこんだり、出っ張ったりしている場合がある。また、投げ釣りで仕掛けを引きずったりした時に、やや沖の方が浅くなったり深くなったしているのに気付くこともある。これは、漂砂と呼ばれる現象によるものだ。漂砂は、波と海浜流の作用によって海岸や海底の土砂が移動する現象、あるいは、移動する土砂そのものを指す。 漂砂量が構造物の設置などにより変化すると、局所的に砂の堆積や侵食が起きたり、低質の変化が起きたりして、魚介類の生息に影響を与えることもある。
 漂砂の状態をみると波や海浜流が日頃どのように動いているのかが、ある程度分かってくる。海浜の標準的な断面形状と名称、漂砂による海浜地形の例を図に示した。



 沿岸砂州(バー)は、波砕帯を中心に発達する。沿岸砂州は波浪によって前進、後退する。沿岸砂州の有無によって、海浜の特性は大きく変化する。沿岸砂州の発達した海浜を暴風海浜、沿岸砂州のない海浜を正常海浜と呼ぶこともある。暴風時に海浜から砂が削られて、沖合の浅海底に堆積して沿岸砂州を形成するが、波が穏やかになると徐々に岸の方に移動して汀線近くに付着し、さらに陸上に乗り上げて平坦なバーム(汀段)を形成する。
 しかし、底砂の粒径が大きいほど、前浜勾配が急になり沿岸砂州は発達しにくい。つまり海岸に立った時に、足元の砂が粗ければ、急に深くなっていると想像できる。その逆ならば、比較的遠浅である。
 砂浜海岸ではトンボロ、カスプ、サンドピット(砂嘴)と呼ばれる地形がしばしば見られる。トンボロは沖に島や防波堤があると生じる。カスプは湾曲部が連続した地形だ。サンドピットは年間の漂砂の方向がほぼ一定の場合に砂州の先端部に砂が蓄積して伸びていく。大規模なものでは、道東の野付半島などが知られている。
 波によって汀線付近に打ち上げられた砂礫が堆積して、浜堤と呼ばれる高まりが汀線に平行して発達する。内陸側に過去に形成された浜堤が保存されて、浜堤列を構成し、浜堤と浜堤の間は低湿地となる。浜堤列の発達によって、海岸が前進して浜堤平野をつくることもある。北海道の勇払原野や房総半島の九十九里平野はその代表例である。北海道の日高沿岸や、噴火湾の北岸は西方向に向かう漂砂が卓越していることでも知られている。
 言うまでもないが、波が年間を通じてどの方向からやってくるかは、港の外防波堤の位置を見れば分かる。さらに波にともなう沿岸流の方向も想像できる。
 磯は砂浜海岸とは対極にある。岩石海岸ともいう。岩石海岸は波浪などによって浸食される一方で、一度変化した地形は回復しない。だが、自然の力で長い年月をかけて形成された砂浜海岸は、年間を通して出入りする漂砂量は釣り合っていて、安定した形状をとるという。もし、砂浜海岸で一方向の浸食や堆積が起こったとすれば、何らかの人為的作用による場合が多いとされる。特に、ダムなどの建設によって河川からの土砂供給が減少したとき、河口付近の海岸では著しい侵食が見られるという。また海岸付近に構造物ができると、侵食あるいは堆積が進行する。
 例えば近年、石狩川河口部にある石狩湾新港の西側にある海水浴場の砂浜が削られ、年々後退して問題になっているが、何が原因かは容易に想像できる。
 さて、釣り人が気にする潮汐の話に始まり、それに関連する自然現象について長々と書いてきた。ぜひ海や海岸の様子をよく観察し、魚がいそうな場所を想像して竿を振っていただきたい。それが的中したときは、喜びもまた格別なはずだ。
 このテーマについては、この辺で潮時としたい。

※参考文献=「沿岸の海洋物理学」(東海大学出版会、宇野木早苗著)、「沿岸の環境圏」(フジ・テクノシステム、平野敏行監修)、「ハワイの波は南極から」(丸善株式会社、永田豊著)、「続・日本全国沿岸海洋誌」(東海大学出版会、日本海洋学会沿岸海洋研究部会編)、「海と陸の間で」(古今書院、米倉伸之著)



潮を釣るJ
時に海のレジャー客の命を奪う
海浜流と波について


※ノースアングラーズ2013年7月号「釣界潮解」に一部加筆

 そろそろ海水浴のシーズンである。楽しいはずの海水浴だが、残念ながら毎年必ずおぼれて亡くなる人がいる。その原因の1つが海浜流の一種の離岸流(リップカレント)だ。海浜流は、流れる方向により3つに分けられる。まず沖からの波による向岸流だ。波の上に浮かぶ物質は、波が動いても上下するだけで進まないと思われがちだが、水深との関係で実際はわずかだが進む。これが元になり次に岸に沿う沿岸流(並岸流)が起きる。そして岸から沖に向かう離岸流となる。離岸流の流速は時に2ノット以上にもなる。これは時速約3・7キロに相当するので、これに逆らって泳ぎ切ることは、水泳のオリンピック選手でも困難といわれている。海岸から600〜800mの沖まで流れ出て、遠ざかるにつれて次第に弱まる。最後は離岸流頭(リップヘッド)で広がって消えるが、流れの一部は岸の方に戻って循環流を形成する。離岸流と離岸流頭は、底質を含んで濁り、周囲と色が異なって判別できたり、海底に浅い溝ができる場合もある。ちなみにリップカレントのリップはRIPで、唇(LIP)の方ではなく、裂け目というような意味だ。





 離岸流が発達しやすいのは、波の周期(波の峰がある地点を通過してから次の峰が通過するまでの時間)が比較的短く、つまり次々と波がやってきて、波高や波形勾配が大きいときだ。逆に周期が長く、波高が小さく、海底勾配の大きい時は発達しない。波形勾配は、波の尖り具合、つまり険しさを示すものだ。波の峰から波の谷までの鉛直距離(水位差)が波高(H)、波の峰から峰までの水平距離を波長(L)といい、H/Lが波形勾配である。波形勾配が1/7より大きい波はなく、このときの波の峰の両波面(稜線)がつくる角度(頂角)は120度だ。例えば、周期が8秒で、波長が100mの波は、いくら発達してもほぼ14mより高くなることはない。
 葛飾北斎の世界的に有名な浮世絵で、富岳三十六景の1つ「神奈川沖浪裏」は、大波やそれに翻弄される小船との間に見える富士山の遠景を描いたものだが、通常ではそこで描かれているような尖った大波は起きないといった話を何かで聞いたことがある。それはどうやら波形勾配による理屈のようだ。科学はときに野暮である。
 海底勾配は海底の傾き具合だ。つまり離岸流は、札幌近郊なら石狩地区の海水浴場のような遠浅の海の方が起きやすいのである。離岸流と隣り合う別の離岸流との間隔は500m程度だが、波の周期が長く、波形勾配が小さいと間隔が広くなる。波は、水深が深いと海底の影響を受けない。逆に言えば海面が大シケでも海の中は穏やかということだ。例えば、波の高さが6mでも水深100mのところでは、動揺は25cm程度という。物理学的には、水深が波長の1/2より大きいと海底の影響を受けない。しかし、だんだん浅い水域に進行してくると、波は海底の影響を感じ始めて高くなり、波長が短くなる。さらに水深が波長の約1/20になるとその勢いは急速に増して、波長がさらに短くなり、つまり波速も減少して、そのため波形勾配が増大する。ついには波の峰の海水の粒子速度が波の速度を超えるようになり、水粒子は前方に飛び出して白く砕けるのである。海岸で波が砕ける領域を波砕帯という。海浜流は、波が斜めに入射した場合などに流れ方が変わるので一様ではない。
 波(波浪)には大きく分けて2つある。台風や低気圧のような嵐の中で発生している波を、風浪とか風波といい、それが静穏域に進んで伝わってくるものを、うねりという。うねりは遠くまで旅をすることで知られる。夏のハワイのサーフィンに適した波は、実は北半球とは逆に冬の南極海で発生した猛烈な嵐によるうねりが、はるばるやってきたものだ。日本では立秋の直前の土用に、風もほとんどないのに突然やってくる高波を土用波といい、事故が起きやすいことから昔から恐れられている。これも遠くの台風が生み出したうねりである。土用波は波長が長いために、一見ゆったりとした波に見えるが、海岸近くでは高い磯波として押し寄せ、引く力が強いのが特徴だ。また、「一発大波」といって、千波に一波は、通常の2倍から3倍の高波が押し寄せることもある。また、波は岬のように出っ張ったところや、海中に根(峰)が張り出したりところに集まって(収束して)高くなり、ワンドや海底に溝(谷)があるところでは、発散して低くなるという性質がある。釣り人は岬の突端など、海岸の張り出したところに釣り座を構えることを好むが、波の影響を大きく受ける場所だということを忘れてはならない。
 海流や潮流と逆方向に進む波は、流れの影響を受けて波速が減少する。周期は変わらないので波長が短くなる。したがって波形勾配が大きくなり、元の波の状態によっては激しく砕けることもある。こういう険しい波を潮波といい、小船を操ることが困難となることから漁師は嫌う。黒潮渦巻く八丈島の沖合いで船釣りをした時に、この潮波に遭遇した。ポイントを移動中のことだったが、船の前方の海面が、そこに川でも流れているかのように帯状に、激しく波立っているのだ。船頭はそこを突っ切って、向こう側に行くと言う。波の帯の中に入った船の揺れといったら半端ではなく、肝を冷やした。なんとか渡りきった途端、また何事もなかったように海は穏やかになった。(以下次号)

※参考文献=「沿岸の海洋物理学」(東海大学出版会、宇野木早苗著)、「海洋の波と流れの科学」(東海大学出版会、宇野木早苗・久保田雅久著)、「沿岸の環境圏」(フジ・テクノシステム、平野敏行監修)、「新しい海洋科学」(成山堂書店、熊沢源右衛門著)、「海洋気象講座」(成山堂書店・福地章著)、「ハワイの波は南極から」(丸善株式会社、永田豊著)、「海の科学」(恒星社厚生閣・柳哲雄著)



潮を釣るI
例えばサクラマス釣りの水深が
胆振・日高沿岸と道南日本海側で違うのは

もうひとつの潮目「フロント」の種類や位置が関係しているから

※ノースアングラーズ2013年6月号「釣界潮解」に一部加筆

 潮目の現象を物理的には海面収束というが、これには同じ性質の水塊内で起きるものと、異なった性質の水塊内で起きるものの2種類がある。前者を筋目=ストリークと呼び、後者を前線=フロントと呼ぶ。フロントには、大きく分けて沿岸フロント、陸棚フロント、外洋フロントがあり、前号では沿岸フロントまで説明した。今回は、陸棚フロントから始めたい。
 陸棚すなわち大陸棚の水深は、世界的には30mから600m以上で、平均では130mほど。一般に200mといわれる大陸棚の深さは。経済水域に関連して国際法で定義されたもので、自然界では固定されたものではない。大陸棚の端を大陸棚外縁といい、この端までの距離も、ほとんどないような短いところから、1400kmに達するところまである。平均では70数kmだ。陸地の岸からこの大陸棚外縁までを、一般的には沿岸海域という。内湾や内海を含めた大陸棚の面積は全海洋の7%に過ぎない。日本近海では、山陰沿岸、北海道のオホーツク海沿岸、本州東岸の一部沿岸などに、大陸棚がやや発達しているが、一般にはあまり大きくない。大陸棚外縁から沖の水深2000〜3000mの範囲までは、海底の傾斜が急な大陸棚斜面で、そこからさらに沖は広大な大洋底となる。斜面の傾きは一般には4〜5度程度だが、30度に達するところある。大陸棚斜面は全海底の11%で、黒潮のような強大な海流はこの斜面の上を流れている。この大陸棚や大陸棚斜面との関係でもたらされるのが陸棚フロントだ。陸棚フロントには、陸棚縁フロント、沿岸湧昇フロント、沿岸境界流フロントがある。



 冬季には、浅い大陸棚上の海水が冷却されて重くなり表層と底層との混合、つまり鉛直混合が活発化する。一方、大陸棚斜面上では、外洋からの熱供給が大きいので、混合が起きにくく層は保たれた(成層)状態にある。陸棚縁フロントは、よく鉛直混合された低温・低塩分の陸棚上の海水と、層を成した高温・高塩分の陸棚斜面上の海水との境界に形成される。
 沿岸湧昇フロントは、海岸線に平行に、1日以上連続して吹く風によって、成層している表層近くの軽い海水がコリオリ力で沖へとエクマン輸送され(コリオリ力とエクマン輸送については1・2月号でふれた)、それを補うために下層の海水が湧昇してくる。それに伴い層の境界線(躍層)も岸に向けて上昇し、ついには海面に達してフロントが形成される。沿岸湧昇フロントは東京湾のような内湾にも認められることから、陸棚フロントではなく沿岸フロントに含めた方がいいとする研究者もいる。沿岸湧昇域は、全海洋面積の0.1%に過ぎないが、魚類生産は全海洋の2分の1を占めるといわれるほど重要だ。
 沿岸境界流フロントは、沿岸近くを流れる海流にともなうフロントで規模が大きい。北(南)半球では、比較的軽い大量の海水が、コリオリの力を受けて岸を右(左)手にみて流れる海流を指し、日本周辺では、対馬暖流、津軽暖流、宗谷暖流などがこれにあたる。これらの暖流は、岸と沖合いの低温水の間を流れ、海流の沖側にフロントを形成する。
 海上保安庁刊行の北海道の海底地形図をみると、室蘭から浦河沖にかけて、陸岸から10〜25kmぐらいのところに水深200mラインがある。そこから先は急に深くなっているので、ここまでが陸棚だろう。陸棚斜面をへて水深1000m以上の日高舟状海盆へとつながっている。舟状?勝手な想像だが、なるほど船を真上からみて、そのへさきがちょうど白老沖あたりに突っ込んだような形になっている。へさき周辺はサクラマスの越冬海域といわれ、スケソウなどの釣り場にもなっているが、その辺りに魚が集まるのは、きっと上記の陸棚フロントや海流が深く関係しているに違いない。一方、同様にサクラマス釣り場である積丹以南の日本海側は、200mラインはほとんどが陸岸から10km以内で、陸棚の張り出しは目立たない。冬季のサクラマスの釣り場の水深も浅い。生態に影響があるとすれば沿岸フロントの方ではないだろうか。
 外洋にもフロントがある。比較的身近なのが、日本では黒潮や親潮にともなうものだ。これらは西岸境界流フロントといい、個別には黒潮フロントや親潮フロントともいう。黒潮は高温・高塩分で、陸岸との間には低温水があるためフロントが形成される。親潮は流氷の影響を受けるため低温・低塩分で、黒潮と出会う三陸東方海域では相互に入り組んで、黒潮フロント、親潮フロント、暖水塊フロント、冷水塊フロントなどの様々なフロント構造が見られるという。この海域が世界屈指の好漁場になっているゆえんだ。地球規模では、このほかにも亜寒帯フロント、亜熱帯フロント、無風帯フロント、極フロントといったさまざまな外洋フロントがある。(以下次号)
※参考文献=「潮目の科学」(恒星社厚生閣、柳哲雄著)、「沿岸の海洋物理学」(東海大学出版会、宇野木早苗著)、「海洋の波と流れの科学」(東海大学出版会、宇野木早苗・久保田雅久著)
 

潮を釣るH
魚が集まるといわれる「潮目」はなぜできるのか?
そのメカニズムを知れば海の中が見えてくる

※ノースアングラーズ2013年5月号「釣界潮解」に一部加筆

 好漁場がいわゆる潮目に形成されるのはよく知られている。一口に潮目といっても、図に示すとおりさまざまだ。潮目という言葉で、すぐに思い浮かぶのは、海面上に現れた帯状、ないしは筋状の模様だろう。釣りでは、そうした場所を探して竿を振ることもある。こうした潮目はなぜできるのか。簡単にいうと、その部分の海水が沈降して泡や浮遊物質が集まるからだ。これを物理的には海面収束という。収束の逆は拡散である。拡散より収束する力が強いから帯や筋ができるのだ。海面収束には、同じ性質の水塊内で起きるものと、異なった性質の水塊内で起きるものの2種類がある。分類上は、同じ水塊内で起きるものを、筋目と呼ぶ。筋目は潮流のような強い水平の流れが、岬のように地形が急変した場所にぶつかって発生したりする。ぶつかった側とは反対側の流れが弱くなり、流れの強いところよりも水位が低くなる。そして、水位の高い方から低い方へと二次流が起きて、その境界に浮遊物が集まるのである。
 また、ラングミュアーという人によって研究が始まったラングミュアー循環による筋目は、風によって海面下で海水が上下に循環することで発生する。筋目は、通常風向きに沿って現れ、風速約3m以上の時に発達するが、まだはっきりとしないこともあるようだ。
 内部波や内部ソリトン(孤立波)は、海上で目視できる波とは違って、水中で起きる目に見えない波動のことだ。内部波の発生要因は潮汐と海底地形の相互作用や、海上の風といわれる。一見穏やかな海面下で、想像もできない大きな波が起きている場合もある。日本近海では、波高が30m以上もある場合も珍しくなく、南大西洋の中央部では100m程度のものも観測されているといる。これによっても、海水の上下の移動が起きて収束により筋目が発生する。特徴としては、風の穏やかな時に発生し、内部波の進行とともに移動する。ちなみに、内部波の上層と下層では流れる方向が逆になっている。これを、漁師は二枚潮とか逆潮と呼び、漁に支障をきたすこともある。船釣りでも、仕掛けがひんぱんにおまつりするような時は、海の中で内部波が起きているのかも知れない。



 もう一方の潮目は前線(フロント)だ。これは気象学における、ふたつの気団の境界面と陸地による境界線という定義に由来する。海面上では異なる性質の水塊が接する現象を指し、海洋フロントともいう。
 淡水と海水が入り混じる河口部のような場所を汽水域という。ここは栄養供給や魚類生産性が最も高い水域で、釣り人にとっても人気のポイントになることが多い。ここにもフロントが形成される。暖かい海水や塩分の薄い海水は軽く、その逆は重いということはご存知だろう。河川の軽い淡水は、重い海の塩水の上に広がっていく。その先端部を河口フロントという。発電所がある場所で形成される温排水フロントも河口フロントと同様に考えていい。例えば、苫小牧東港の発電所前にいろんな魚が集まるのは、こうした事情もあるのかと想像してしまう。
 ちょっと専門的になるが、重い水の上に軽い水が層状に積み重なっている状態を成層という。沿岸水域では春から夏にかけて上層の水温は急激に上昇し、浅いところほど高温になるが、深い部分は水温の上昇はわずかだ。夏季は成層が強くなる。つまり、上下の密度差が大きくなる。成層が強くなると、鉛直混合つまり上下の混合が弱くなり、上層から下層に熱が伝わりにくくなる。冬場はこれとは逆に上層の水が冷されて重くなり、下層との活発な混合が起きる。栄養塩が濃厚な下層の水が、光合成が促進されやすい上層へと循環することで、植物プランクトンが育まれ、魚も集まってくるというわけだ。春が釣りシーズンだったり、いわゆる夏枯れが起きるのは、この成層の活動との関係もあるに違いない。
 沿岸水域は陸地と外洋に挟まれている。冬季には海面が冷却されて水温が低くなり、海域の中間部の海水は重くなる。しかし、岸により近い海水は河川から淡水が供給されるので、ある程度以上には重くなれない。また、沖合いの海水も暖かい外洋からの熱供給のために、ある程度以上には重くなれない。そのため中間部の海水が一番重くなり沈降する。その結果、海面上には、岸と沖合いから中間部方向に流れる海流が生じさらに、その底では逆方向に向かう流れも生じる。こうして形成される境界線を熱塩フロントという。
 潮汐フロントは夏季に、強い潮流によって成層が破壊された海域と、潮流が弱く成層が発達した海域の境目に発生する。潮汐フロントにそった海面上にはクラゲやさまざまな浮遊物が集まるという。こられのフロントを総称して沿岸フロントという。(以下次号)
※参考文献=「潮目の科学」(恒星社厚生閣、柳哲雄編)、「沿岸海洋学」(恒星社厚生閣、柳哲雄著)、「海洋の波と流れの科学」(東海大学出版会、宇野木早苗・久保田雅久著)、「沿岸の環境圏」(フジ・テクノシステム、平野敏行監修)
 

潮を釣るG
タラ場や沖根でなぜ魚が釣れるのか?
魚の分布に大きな影響を及ぼす内部潮汐、残差流、海浜流

※ノースアングラーズ2013年3・4月合併号「釣界潮解」に一部加筆

 さて、これまで「潮」について長々と書いてきた。もう、そろそろ終わりにしようと思うが、あまりにも奥が深く、次から次と興味深い話が表れてくるものだから困っている。
 潮汐は月と太陽の起潮力によって起きる海水の上下運動で、それに伴う海水の移動が潮流だ。ちなみに起潮力は大気や地球そのものにも作用し、大気潮汐や地球潮汐も起こす。大気潮汐は、気圧や風を変化させる。地球潮汐は地面を数センチから数十センチ上下させ、巨大地震の引き金になるという説もある。よく満潮の時に赤ちゃんが生まれたり、干潮の時に人が亡くなるなど、潮の満ち干(みちひ)と人間の生死が関係しているといわれるが、地球さえもゆがめてしまうほどの起潮力のパワーなのだから、人体にもなんらかの影響を及ぼしているのかもしれない。
 潮流は海の表面だけでなく深い場所でも起こる。北海道の海釣りでは、ラインを1000mも用意するメヌケ釣りなどの深海釣りを除き、通常利用する海域はせいぜい200mぐらいまでだ。そこまでを沿岸海域といい、その面積は全海面の3%ほど。平均水深は約130mだ。沿岸域で最も深い場所での釣りはタラ釣りだが、経験的にその水深にほぼ一致する。以前から、いわゆるタラ場はなぜこの水深に集中しているのかと不思議に思っていた。これはその前後に、陸棚斜面など海底の地形が急に変化している場所があるからだろう。そこでは、潮流が海底にぶつかって内部潮汐が起きる。それにより海水が鉛直方向、つまり縦方向に動き、低層にある栄養塩も、光合成が促進される上層へと供給されて植物プランクトンの増殖を促すため、結果的に魚が集まるのだろう。ソイなどが釣れる沖の根とか岩礁地帯でも、同じことが起きていると思われる。メヌケ釣りにしても海底にたまたま根がある場所だ。海水が動くということが、生命を育む上で大きな役割を担っているのである。



 ところで、満潮時や干潮時に、一見海水が動かない状態となり、釣り人は潮止まりといったりするが、本当に海水は動かないのだろうか。潮汐による海水の往復だけなら、最終的に水は動かず、平均した流速はほぼゼロになるはずだが、実際に測ってみるとそうはならない。なんらかの数値が得られ、海水が動いていることが分かるという。この海水の動きを、潮流の成分を除いたという意味で残差流という。残差流の発生原因には潮汐残差流(地形性残差流)や密度流、吹送流などがある。潮汐残差流は、潮流の速い海域に突き出した岬の陰などにできる地形性反流、つまり渦状の流れだ。密度流は、水温や塩分の違いによる海水の動きである。河口部などの汽水域で、淡水が海水の上に広がるときの流れや、重い外洋水が内湾の底層に入ってくるときがそうだ。吹送流は海面上を吹く風の力で起こる。大規模なものは、黒潮のような海流もその一つだろう。また、沿岸地域で海面と陸地の暖まり方や冷え方の違いによって、昼間は海から陸へ、夜間は陸から海へと吹く海陸風によっても吹送流が起きる。これが潮汐による潮流を増幅させるときもある。
 残差流は、沿岸海域における長期間の一方向への物質輸送(例えば事故によって流失した重油など)の動きにとって、日々起きる潮流よりも果たす役割が大きいとされる。なぜか魚が溜まるポイントがあるとすれば、餌となる物質が残差流によってそのポイントに運ばれているからと想像してしまう。
 波によって起きる流れもある。波は風、気圧変化、地殻変動などによっても起きる。波によって起きる流れを海浜流という。このうち沖から波打ち際(汀線)に向かってくるのが向岸流、これが岸にぶつかり、汀線沿いに向きを変えたものが沿岸流(並岸流)、さらにある地点から集中して沖へと向かう離岸流となる。ちなみに、離岸流は海水浴客が溺れる原因になることもある。また、岬の先端では波が砕け散るが、これは波が突き出たところに集まる性質があるためだ。釣り人は、魚が釣れそうということで、岬の先端近くに釣り座を構えたがるが、波が集まる場所だということも、忘れてはならない。海岸流もまた、プランクトンなど魚の餌となる浮遊生物の分布に大きく影響している。「魚を釣るなら潮を釣れ」といわれる所以だろう。(以下次号)
 
※参考文献=「沿岸の海洋物理学」(東海大学出版会、宇野木早苗著)、「沿岸海洋学」(恒星社厚生閣、柳哲雄著)、「沿岸の環境圏」(フジ・テクノシステム、平野敏行監修)

潮を釣るF
ブリやアオリイカを北海道へと運ぶ
黒潮はなぜ南から北へ流れるのか

 ※ノースアングラーズ2013年1・2月合併号「釣界潮解」に一部加筆

 潮という言葉には、日々繰り返される満潮や干潮(tide)だけでなく、海水そのものや、黒潮や親潮と呼ばれるように、潮流や海流(current)の意味もある。黒潮(日本海流)は、英語でもKuroshio Currentと呼ばれるほどメジャーな海流で、北大西洋のメキシコ湾流(ガルフストリーム)とともに世界2大海流といわれる。
 北海道の釣り人がブリ釣りや、最近ではアオリイカ釣りなどが楽しめるのも、黒潮やそれが枝分かれした対馬暖流のおかげだ。魚は餌を求めて北上してくるわけだから、黒潮は一見栄養豊富に思えるが、実はプランクトンなどの生物量が少ない貧栄養の潮だ。栄養が少ないと、光を吸収するために青黒く見えることから黒潮と呼ばれるようになった。逆に寒流の、親潮(千島海流)は栄養塩類が豊富で青白く見える。生き物を育む親のような存在だから、親潮である。
 満潮や干潮の潮の動きは、月と太陽の万有引力を源とする起潮力によるが、海流は主に風が原動力だ。北半球では、北緯45度付近を偏西風が吹いている。また、北緯15度付近には、偏西風とは逆向きの東風である貿易風が吹いている。潮は風による海水の水平移動であるから、流れる方向は風向きと同じだと直感的に思うが、実際はそうではない。それは、地球の自転によって働くコリオリ力によって、エクマン輸送という現象が起きるためだ。その結果、実際は風が吹いていく方向に直線的に動くのではなく、右方向へとカーブしていく。実際は偏西風で海水は南に、貿易風では北に運ばれるのだ。


 コリオリ力を説明するのに、文献などでよく用いられるのが、北極点に立つ人から、真南方向に立っている相手に向かってのボール投げだ。地球を真上(北極点)から見ると円盤のように見えるので、真南の円盤の端に立っている人に向かい、円盤状をボーリングのようにボールをころころと転がすイメージでもいい。真上から見ると、地球は反時計回りに回っている。その状態で見下ろすと、ボールはまっすぐ南に進んでいるが、ボールが相手に届く距離を進んだ時には、受け取る相手が、すで反半時計回りに移動してしまっていて受け取れない。これをボールを投げた、ないしは転がした人から見ると、ボールが右にそれていってしまったように見える。つまりボールに左(東)から右(西)向きに力が加わったように見えるのである。この見かけの力がコリオリ力である。ただし、コリオリ力の影響は、風が接する海面近くとある程度の深さがある場所では違う。イメージとしては、表層近くでは、風下に向かって右45度で強く流れ、深くなるほど勢いを弱めながら直角方向に進路を変えて行く。これがエクマン輸送で、その形がらせん状なので、エクマンらせんともいう。偏西風と貿易風によるエクマン輸送は、太平洋中央部に海水を堆積させて盛り上げるため、一方では海面勾配による圧力勾配力も生じさせる。
 天気図の高気圧や低気圧と同様に、海洋にも海面の盛り上がり方の違いにより高圧部と低圧部ができる。海面が盛り上がっている場所は、高圧部だ。高圧部の海水の温度は高く低塩分で、この状態を密度が小さく軽いともいう。低圧部はこの逆だ。海流は海の等圧線(等温線とほぼ同じ)に沿って、高圧部を右に見ながら流れる。黒潮は、この状態にあるわけだ。黒潮の帯の両端、つまり北側と高圧部側の南側では、海面の高さが1mほども違う。傾いているのである。したがって黒潮の中に位置する八丈島では、黒潮が島の北を流れると南を流れるときより、水面が1m高くなるそうだ。
 コリオリ力とこうした圧力勾配力の関係(地衡流平衡という)により、黒潮を含めた北太平洋をぐるぐると時計回りに流れる亜熱帯循環流が生じるのである。
 南半球では、南極の真上から見ると地球は時計回りなので、海流の動きは北半球とは逆になる。(以下次号)
※参考文献=「海の科学」(恒星社厚生閣・柳哲雄著)、「海洋気象講座」(成山堂書店・福地章著)、「海洋のしくみ」(日本実業出版社・東京大学海洋研究所編)

※潮を釣るのEまでの記事は「2013年の記事一覧」に掲載

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